甲状腺と安定ヨウ素剤

●甲状腺とは?

甲状腺とは、正面から見て首の付け根あたりにある内分泌器官のひとつで、ホルモンを分泌する器官です。

甲状腺は体内のヨウ素を取り込み、甲状腺ホルモンを作ります。

言い方を変えると。

「甲状腺はホルモンを作るために、ヨウ素を取り込んでいる」と言うことになります。

「甲状腺」や「ヨウ素」、そして「放射性ヨウ素」など。

福島第一原発の事故以来、これらの単語はニュースでも頻繁に聞かれるようになりました。

●放射性ヨウ素

「ヨウ素」の種類として、原子力発電所の核分裂で作られる「放射性ヨウ素」というものがあります。

その名の通り放射能を持つヨウ素で、中でも「ヨウ素131」や「133」などが有名です。

これらは「放射性物質」ですが、基本的には「ヨウ素」ですので、人体に入ると甲状腺に取り込まれ、蓄積されていきます。

そこから「甲状腺被爆」や「機能障害」、ひいては「甲状腺がん」が引き起こされます。

●ヨウ素剤

福島第一原子力発電所の放射能問題では、ヨウ素剤を配布するとかしないとか、服用するとかしないとか。

そういうことが問題になりました。

「ヨウ素剤」は甲状腺がんを防ぐために服用するモノですが、これは人間が「放射性ヨウ素を浴びると甲状腺にたまり、そこから甲状腺がんを引き起こす」事を、利用したものです。

事前に「放射性ではない普通のヨウ素」を「ヨウ素剤」という形で服用する事で、甲状腺を沢山の「放射線ではないヨウ素」で満たしておきます。

その後「放射性ヨウ素」を浴びても、甲状腺はすでにヨウ素でいっぱいに満たされている事で、これ以上吸収させないようにする、という考え方です。

甲状腺が吸収できるヨウ素の量には、限界があるため、こういう方法がとれるのだそうです。

●甲状腺機能亢進症

バセドウから来る“甲状腺機能亢進症”は、甲状腺疾患の代表的な病気です。

悪化すると「甲状腺クリーゼ」という、突然高熱や嘔吐、意識障害を引き起こす合併症になる場合があります。

●血液検査

甲状腺をわずらっている場合、症状は血液検査である程度把握する事が出来ます。

バセドウ病の場合、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT3(遊離トリヨードサイロニン)、FT4(遊離サイロキシン)などを測定します。

詳しくは「血液検査でわかること」をご参照ください。

●安定ヨウ素剤

ヨウ素の中の「放射能を出さないヨウ素」を用いて作られた薬剤を、「安定ヨウ素剤」といいます。

安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素から身を守るために服用するものですが、ただ飲めば良いという事ではありません。

服用し、効果が持続するのは「24時間」と言われています。

ですから放射性ヨウ素が多い土地に行く場合、その「直前」に服用する必要があります。

突発的な事故により、安定ヨウ素剤を服用する前に放射性ヨウ素を取り込んでしまったとしても、8時間以内だったら「服用した方が放射性ヨウ素の吸収を抑制できる」と言われています。

また安定ヨウ素剤を服用する対象者は、40歳未満です。

40歳以上の人が放射性ヨウ素取り込んだ場合、安定ヨウ素剤を服用していなくても甲状腺がんの発生率はあまり変わらない、と言われています。

もちろん、安定ヨウ素剤を服用すれば100%安全、と言う訳ではありません。

決して「放射性ヨウ素が無効化されるわけではない」ですし、反対に服用しなかったからと言って、必ず被爆すると決まっているわけではありません。

安定ヨウ素剤の服用するか、しないかは、あくまで「状況」によります。

政府からの発表やお医者さんの指示をきちんと聞いた上で、服用の有無を検討しましょう。





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