甲状腺の働きについて

●健康な方

人間の体内には、身体の代謝を司る物質「ホルモン」が分泌されています。

ホルモンは、血液に乗って体内を循環しています。

甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」は、ホルモンの中でも「細胞の代謝率を上昇させる」大切な働きをしています。

もし、体内の「甲状腺ホルモン」の濃度が低くなると・・・

甲状腺が「甲状腺ホルモン」を分泌し、血液中の濃度を高めます。

ホルモンの濃度は、常に一定に保たれるようになっています。

その「甲状腺ホルモン」を分泌する「甲状腺」に、「甲状腺ホルモンを分泌せよ」と命令しているのが、「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」です。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、「脳下垂体」から分泌されます。

つまり、血液中の甲状腺ホルモンが減少すると、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が増える事で、甲状腺が甲状腺ホルモンを分泌するようになります。

反対に、血液中の甲状腺ホルモンが増加し、濃度が高くなると、甲状腺はそれ以上甲状腺ホルモンを分泌しなくても良いため、脳下垂体は分泌を促す甲状腺刺激ホルモンを抑制します。

このような動作を、「ネガティブ・フィードバック」と言います。

血液中の甲状腺ホルモンの濃度は、ネガティブ・フィードバックにより、常に一定に保たれています。

※1

脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌される。

   ↓

甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺に作用し、甲状腺ホルモンが分泌される。

   ↓

甲状腺刺激ホルモンが分泌される事で、血液中の甲状腺ホルモン濃度が上昇する。

   ↓

血液中の甲状腺ホルモンの濃度が上昇すれば、甲状腺は以上甲状腺ホルモンを分泌しなくても良いため、脳下垂体が甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌量を減らす。

(ネガティブ・フィードバック)

   ↓

甲状腺から分泌される、甲状腺ホルモンの分泌量が減少する

   ↓

体内の甲状腺ホルモン濃度が、低くなる

   ↓

※1へ(このくりかえし)

●バセドウ病になると

体内に「TSHレセプター抗体(TRAb)」が、現れます。

「TSHレセプター抗体(TRAb)」は、脳下垂体から分泌される「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」ではありません。

しかしTSHレセプター抗体(TRAb)とても似ているモノで、甲状腺刺激ホルモン同様、甲状腺に対して働きかけ、甲状腺ホルモンを分泌させてしまいます。

本来、甲状腺が甲状腺ホルモンを分泌しすぎて血液中の濃度が上がってしまった場合、ネガティブ・フィードバックにより、脳下垂体に対して「甲状腺に甲状腺ホルモンを分泌させない」ように「甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑えて」と、機能するようになっています。

しかし、TSHレセプター抗体(TRAb)は、脳下垂体から分泌される訳ではないので、ネガティブ・フィードバックによる抑制がききません。

その為、TSHレセプター抗体(TRAb)は甲状腺を刺激し続け、甲状腺ホルモンがずっと分泌され続けてしまうことになります、

TSHレセプター抗体(TRAb)の作用により、甲状腺は常にフル稼働で甲状腺ホルモンを作り続けてしまいます。

甲状腺ホルモンを作り続ける事で、甲状腺は肥大化し、血液中の甲状腺ホルモンは増え続け、血液中の濃度が上昇し続けます。

それに伴って、本来甲状腺に甲状腺ホルモンを分泌させる為に刺激を与える「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」は、減少していきます。

つまりバセドウ病になると、下記のような状態になります。

・TSHレセプター抗体(TRAb)が増加

・甲状腺ホルモン(T3、T4)が増加

・甲状腺刺激ホルモンが減少

血液検査でバセドウ病かどうかの判断をするのは、これらの濃度を測定することになります。

TSHレセプター抗体(TRAb)が発生する。

  ↓

※2

TSHレセプター抗体が甲状腺に作用し、甲状腺ホルモンを分泌させる。

  ↓

体内の甲状腺ホルモン濃度が高くなる。

  ↓

甲状腺が肥大化する。

  ↓

ネガティブ・フィードバックにより甲状腺刺激ホルモンは減少する。

(しかしTSHレセプター抗体(TRAb)の濃度は変わらない)

  ↓

※2へ(このくりかえし)

血液中の甲状腺ホルモンの濃度は、高くなりつづける悪循環に陥ります。





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